- 「介護士になりたい理由が見つからない」
- 「志望動機で聞かれたときにどう答えよう」
このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
介護士になりたい理由の答え方は「お年寄りと話すのが好き」「介護経験がある」など、介護に通ずる内容にするとよいでしょう。どの職種でも当てはまる回答になると「介護職じゃなくてもいいのでは?」と思われる可能性があるためです。
この記事では、介護士になりたい理由を聞かれたときの答え方とNG回答例を紹介します。加えて、なりたい理由以外の志望動機で大切なポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
介護士になりたい理由を聞かれたときの答え方4パターン
介護士になりたい理由を聞かれたときの答え方を紹介します。
- お年寄りを話すのが好き
- 介護経験がある
- 手に職をつけたい
- 人の役に立つ仕事をしたい
お年寄りと話すのが好き
「お年寄りと話すのが好き」と答えることで、面接官に好印象を持たれます。その理由は、利用者のほとんどがお年寄りだからです。
もちろん「人との触れ合いが好き」でも与える印象は良くなりますが、お年寄りと限定することで、より介護職に特化した志望動機になります。
ただし、言葉では誰でも言えるので、祖父母や近所のおじいちゃんおばあちゃんと話していたエピソードを交えるとよいです。言葉の信憑性が増し、面接官も納得の志望動機になるでしょう。
介護経験がある
介護経験があるなら、介護士になりたい理由に最適といえます。例えば、以下のような経験がある場合は「介護の興味付け」として伝えやすいです。
- 家族の介護が必要になった
- 身近な人が介護士をしていて興味を持った
- 自分がケガや病気のときに介護をしてもらった
なりたい理由においては、自分が介護をすることだけが経験じゃありません。介護を目の当たりにした経験や、自分がしてもらった体験もなりたい理由といえます。
今までの人生を振り返り、生活の一部に介護が関連していないか考えましょう。
手に職をつけたい
介護は専門職なので「手に職をつけたい」という理由もよいでしょう。実際に、介護職はスキルを身につければ一生の職業として働けるからです。
手に職をつけたい理由と紐づけるなら、以下のようなことがあります。
- 昨今の経済状況を見て、自分のキャリアを見直した
- 育児と両立して働きたい
- 手に職をつけてキャリアを高めたい
ただし、手に職を理由にすると、自分本位な志望動機になってしまいます。特に、人との触れ合いを大切にする介護職では、マイナスなイメージを与えかねません。
また、手に職になる仕事は介護職以外でもたくさんあるので「他の仕事でもいいのでは?」と思われる可能性もあります。
そのため「なぜ介護士なのか」「どのような介護士になりたいのか」も簡単に補足しましょう。
人の役に立つ仕事をしたい
「人の役に立つ仕事をしたい」という理由も、介護士を目指すきっかけといえます。事実、介護職は利用者の生活をサポートする仕事なので、答え方としても問題ありません。
また、利用者が笑顔で生活できれば、その家族も喜んでくれます。多くの人から感謝される仕事なので、実際に働くうえでも「人の役に立っている」と感じられるはずです。
とはいえ、先ほどと同様に「なぜ介護士なのか」を簡単に補足をした方がよいでしょう。人の役に立つ仕事は介護以外にもあるので、漠然とした理由と捉えかねません。
加えて、人の役に立ちたいという言葉だけでは、自己満足といった印象を持たれてしまう可能性もあります。そのため、利用者目線に立ったうえで「どのように役立ちたいのか」を具体的にしましょう。
自分に向いていると思ったから
介護士になりたいと思った理由として「自分に向いていると思った」ことを理由にあげる人は多くいます。
自分に向いていると思ったことを理由にする場合、自分の長所や得意なことをふまえて「なぜ介護士が自分に向いていると思ったのか」を伝えることが大切です。
例えば家族や親戚などの介護の経験があれば、その経験や知識を仕事に活かせるでしょう。
また介護士は多くの利用者や利用者の家族と直接接する職種のため、介護の技術や知識だけでなく、人柄やコミュニケーション能力なども重視されています。
自己分析を深めて、介護士として活かせる経験や得意なことをアピールしましょう。
人のお世話をするのが好き
介護士はサービス利用者の日常生活を支える仕事です。そのため、普段から人のお世話をするのが好きなことを理由に目指す人もいます。
介護士は利用者の食事や入浴、排泄などの介助を行うため、体力的にも精神的にも負担が大きいと感じ、辞めてしまう場合があります。
人のお世話をするのが好きな場合、これらを負担とは感じにくく、介護士として長く活躍してくれるだろうという印象を採用担当者に与えられるでしょう。
また「なぜ人のお世話をするのが好きなのか」を具体的な理由も含めて回答することで、仕事への熱意や意欲を示すことが大切です。
【面接での回答例文】
私は昔から人のお世話をすることが好きで、介護を通して多くの人の役に立ちたいと思い、介護士を志望致しました。
私は3年近く祖母の介護を行っていました。介護するなかで祖母から直接お礼を言われることもあり、その度に祖母の役に立っていることを実感しやりがいを感じていました。
介護士として知識や経験を積み、より多くの人の生活を支え、役に立ちたいと考えています。
コミュニケーションが好き
「コミュニケーションが好き」という理由で介護士を目指す人もいます。
生活介助や身体介助を行うなかで、利用者や利用者の家族との信頼関係を築くためには積極的なコミュニケーションが大切です。
またコミュニケーションを通して相手への理解を深めると、利用者の目線に立って考えられるようになり、利用者の悩みや必要としていることを汲み取って支援できます。
ただし、ただ話すことが好きなだけでは介護士の仕事に活かせるのかが伝わりません。面接で回答する際には、どのようにコミュニケーション能力を活かすのかをイメージできるように伝えましょう。
【面接での回答例文】
私が介護士になりたい理由は、相手の視線に立ってコミュニケーションを取ることが好きだからです。私はコミュニケーションを通じて相手のニーズを汲み取り、お客様に喜んでもらえる仕事にやりがいを感じ、長年接客業に携わってきました。
この度、より密接なコミュニケーションを取って誰かの役に立てる仕事をしたいと思い、介護士を志望致しました。
これまで培ってきたコミュニケーション能力を活かして、利用者様のニーズを汲み取り、的確に応えられる介護士として御社に貢献したいと考えています。
スキルアップ・キャリアアップをしたい
介護士を目指す人のなかには「スキルアップ・キャリアアップをしたい」と考える人は多いです。
介護士は未経験や資格がない人でも就職でき、働きながらスキルアップができる職種です。
企業側も人材育成に力を入れており、しっかりとした研修制度を導入しているケースや、資格取得のサポート制度を取り入れている場合が多くあります。
その制度を活かして介護福祉士やケアマネージャーの資格を取得すれば、キャリアアップも目指せるでしょう。
具体的にどのようなスキルを習得したいのかや、具体的なキャリアプランをふまえて志望動機を伝えることで、介護士への意欲や熱意をアピールできます。
【面接での回答例文】
私は、働きながら介護士としてのスキルアップを目指したいと思い志望致しました。私の目標は、利用者に心から寄り添い、信頼してもらえる介護士になることです。その実現のためには、介護士としてさらに知識や経験を積む必要があると考えています。
御社は入社時の研修制度以外にも、資格取得のためのサポート制度が充実しています。
その経験や知識を仕事に活かすことで、御社に貢献しながら自身のスキルアップができるのではと考え、志望致しました。
働きたい企業・施設だった
「働きたい企業・施設だった」ことを介護士になりたい理由として考える人もいます。
特定の企業や施設で働きたいと考えている場合は、「なぜそこで働きたいのか」を明確に伝えることが大切です。
介護士は業界全体で人手不足が続いており、必要としている企業や施設は数多くあります。
そのなかで、応募した企業でなければならない理由が明確であれば意欲の高さや熱意が採用担当者に伝わるでしょう。
また、曖昧なイメージをもとに志望していると、実際にはイメージと違う場合もあります。応募する前に、働きたい企業・施設に対して企業研究を行い理解を深めることも大切です。
【面接での回答例文】
私が介護士になりたいと思ったのは、祖母が御社のサービスを利用していたことがきっかけです。御社へ通所する前の祖母は思うように行動できないことで塞ぎ込みがちで、私たち家族も歯がゆい思いを抱いていました。しかし、通所するようになると日に日に祖母は明るくなり、家庭でもよく笑うようになりました。祖母から施設の話を聞くと、職員の皆さんが祖母に対して真心を持って接してくれていることが感じられました。
利用者に心から寄り添い、支えている職員の皆さんがいらっしゃる御社で、自分も誰かを笑顔にできる介護士になりたいと思い、志望致しました。
介護士になりたい理由を聞かれたときの3つのNG回答
介護士になりたい理由を聞かれたときのNG回答を紹介します。
- 自宅から近い
- 介護の勉強をしたい
- 社会に役立つ仕事をしたい
自宅から近い
自宅から近いという理由は、介護士に限らずどの職種でもNGです。「介護士でなくてもいいのでは?」と思われるうえに「やる気がない」「すぐ辞めそう」などマイナスなイメージを持たれてしまいます。
加えて、介護士になりたい理由にあてはまりません。ただ働き口を近場で探しているだけになるので、面接官からすれば「何のためにきたの?」とすら思われるでしょう。
そもそも、自分のためにその施設を選んだ理由は志望動機ではありません。志望動機は「施設に貢献する意識」を伝えるものなので、注意しましょう。
介護の勉強をしたい
「介護の勉強をしたい」という理由はやる気が伝わりそうに感じますが、志望動機ではNGです。なぜなら、施設は「働く場所」であって「学ぶ場所」ではないからです。
もちろん学ぶ姿勢があるのはよいですが、面接官は「学生気分が抜けていない」とマイナスに捉えてしまいます。加えて「受け身な姿勢で仕事しそう」といった印象も与えかねません。
自分を高めたい気持ちを伝えたいなら、勉強ではなく「介護士のキャリア」として志望動機に書きましょう。
社会に役立つ仕事をしたい
「社会に役立つ仕事をしたい」という理由はよく使いがちですが、漠然としすぎて面接官に刺さりません。加えて、全ての仕事は社会に何かしら役に立っているので、どの職種でも同じことが言えてしまいます。
とはいえ、社会に役立つ意識が悪いわけではありません。実際に、介護は社会貢献度が高い仕事なので、マイナスな印象は持たれないでしょう。
だからこそ、社会貢献をするために「なぜ介護士になりたいのか」を考えることが大切です。加えて「介護士以外でも通じる理由ではないか」を確認し、志望動機で伝えましょう。
今後ニーズが高まる仕事だから
介護士になりたい理由として「今後ニーズが高まる仕事だから」はおすすめできない回答です。
高齢化が進んでいるなか、今後ニーズが高まることを理由に介護士を目指す人が多い職種です。しかしニーズの高まりがなりたい理由の場合、実際に介護士に向いているのかが分かりません。また、ニーズが高ければ他の職種でもよいのではという印象を与えてしまい、介護士でなければならない理由が伝わらないでしょう。
将来性を考えて介護士に就職したい場合は、介護業界に興味を持った具体的な理由や介護士として働くことへの意欲の高さをアピールすることが大切です。
定年まで働きたい
介護士は特に年齢制限がなく、本人の気持ちや環境次第で定年まで働ける職種です。中途採用では20代の若い人材だけでなく、30代や40代の人の採用も多くあります。
しかし定年まで働ける職種は介護士以外にも数多くあるため、「定年まで働きたい」ことを介護士になりたい理由として伝えても効果的なアピールにはならないでしょう。
介護士になりたい理由が曖昧では、仕事が嫌になればすぐに辞めるのではと思われてしまいます。
介護士として定年まで働きたいのであれば、どのようなキャリアを考えているのかも含めて伝えることが大切です。具体的なキャリアプランが描けていることが伝われば、入社後に長く働いてくれるだろうという印象を与えられるでしょう。
給料や福利厚生が良い
「給料や福利厚生が良い」といった待遇面を、介護士になりたい理由として回答するのは控えましょう。
業界全体として人手不足が続いているため、給与や資格手当などの待遇面を改善している施設も増えています。
働くうえでは待遇面もチェックすべきポイントですが、待遇面の良さだけが理由では介護士の仕事への熱意はアピールできません。場合によっては自分のことしか考えていない、自分本位な人だと思われてしまうでしょう。
介護士は利用者の日々の生活をサポートする存在のため、採用時には人柄も重視されます。
自分本位な人は適性がないと思われる可能性があるため、待遇面を志望動機としてあげるのは控えましょう。
正規職員として働けると思った
介護士になりたい理由として「正規職員として働けると思った」という回答も控えましょう。
正規職員として働けるかどうかを重視している姿勢は、自分のメリットだけを考えていると担当者に受け取られる可能性があります。前述した給料や福利厚生の待遇面を理由にしている場合と同様に、自分本位な人と思われてしまうでしょう。
また「なぜ応募した企業で働きたいのか」が伝わらず、正規職員として働けるのであればどの企業でもよいのだろうと評価される可能性があります。
企業側が採用するメリットを感じられず、仕事への意欲も見えないと思われてしまうでしょう。
介護士になりたい理由の他に志望動機で大切なこと
介護士になりたい理由の他に志望動機で大切なことは、以下の通りです。
- なぜその施設で働きたいかを考える
- 人間性をアピールする
- 自分本位な内容を避ける
- 条件面について書かない
なぜその施設で働きたいかを書くことで「施設への貢献意識」が伝わります。加えて、人との触れ合いが大切な介護職だからこそ、自分の強みを明確にして人間性をアピールしましょう。
注意点として、自分本位な内容を避けることです。介護は協調性が求められる仕事なので、自分本位な内容は人間性に問題があると思われてしまいます。
また、条件面について書くのもNGです。給与や休暇などの待遇面はもちろん、仕事の要望なども書かないようにしましょう。
ただし、介護士の志望動機には多くのポイントがあり、全てを把握しておかないと、就職・転職で失敗する可能性が高まります。以下の記事で「介護職の志望動機」を例文付きで詳しく解説しているので、成功率アップのために参考にしてください。
まとめ
介護士になりたい理由を答えるときは「なぜ介護士なのか」と「介護職以外でも通ずる理由にならない」ことが大切です。
特に「手に職をつけたい」「人の役に立つ仕事をしたい」ことが理由の場合は、介護以外でも当てはまる回答になりやすいので、注意しましょう。
また、「介護士になりたいけど理由が漠然としている」「面接の受け答えに不安がある」という方は、下記の記事で「介護の仕事でやりがいを感じるとき」と「介護職の面接でよくある質問と回答例」について解説しています。
現場で働く介護士のやりがいを知ることで、なりたい理由が明確になるかもしれません。ぜひ参考にしてください。