「介護職の面接でよくある質問を知りたい」
「質問に対する回答がわからない」
上記のような悩みを抱く方もいるのではないでしょうか。
介護職の面接は、似たような質問をされるケースが多いです。よって、事前に回答のパターンを作っておくと、相手に与える印象がよくなるでしょう。
この記事では、介護職の面接でよくある9つの質問と回答例を紹介します。加えて、好印象を与えるポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
介護職の面接でよくある9つの質問と回答例

介護職の面接でよくある質問と回答例を紹介します。
- 自己紹介をお願いします
- 退職理由を教えてください
- 当施設を志望した理由は何ですか?
- あなたの長所・短所は何ですか?
- 夜勤や残業はできますか?
- いつから勤務できますか?
- 将来どのような介護士になりたいですか?
- 最近気になったニュースを教えてください
- 逆に質問はありますか?
自己紹介をお願いします
自己紹介は、どんな面接でも必ず聞かれます。伝えるポイントを意識して、1分程度で簡潔に答えましょう。
自己紹介で伝えるポイントは、以下の4つです。
- 名前
- 学歴
- 職歴
- あいさつ
あいさつは「お時間をちょうだいし、ありがとうございます」「本日はよろしくお願いいたします」など、面接の時間を作っていただいたことへの感謝の言葉を伝えましょう。
また、学歴や職歴は、学んだ内容や携わった職務が一言でわかるよう、簡潔にまとめるのもポイントといえます。
- ○○と申します。介護の専門学校で介護初任者研修を取得し、卒業後は有料老人ホームで2年間勤務しました。本日はよろしくお願いいたします。
- ○○と申します。大学を卒業後、飲食業で主にホールスタッフとして5年間勤務しました。幼少期に祖父母と一緒に生活し、介護に興味があったことで転職を考えました。本日は、お時間をちょうだいし、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
未経験者の場合は、介護に興味を持った理由を簡単に入れましょう。学歴や経歴が介護に関連しなくても、きっかけがわかるだけで相手に与える印象が違います。
逆に、自己紹介でダメな例は、回答が長くなりすぎることです。資格やスキルをアピールした方が採用されやすいと考えるかもしれませんが、面接を進めていくうちに聞かれるので、自己紹介で詳しく言う必要はありません。
むしろ、最初から自己アピールが強すぎると「自分本位な人間なのかも」と勘違いされる可能性があります。相手の時間をいただいているという意識を持ち、簡潔に伝えましょう。
退職理由を教えてください
面接で退職理由を聞くのは「離職するのを防ぐ」ためです。そもそも退職には理由があるわけで、同じように辞められたら困ると面接担当は考えています。
仮にネガティブな理由で退職する場合でも、なるべく前向きに答えましょう。とらえ方は人それぞれなので、「この人の人間性の問題では?」「同じ理由でまた辞めるかも」と勘違いされる可能性があるからです。
前向きに言い換えた例は、以下の通りです。
退職理由 | 前向きに言い換えた例 |
---|---|
パワハラを受けていた | チームで成果をあげることが困難な状況だった |
残業が多い | ○○時間残業があり、スキルアップの時間がとれない |
方針が合わない | 人手不足で施設側が利用者に寄り添える状況下になかった |
- 前職では、チームの方針を決めるのは上司であることが原則とされていました。そのため、上司としても若手職員の意見を取り入れづらく、チームで成果をあげることが困難な状況にありました。施設の方針を私たち職員が変えることはできないため、新しい職場でチャレンジしたいと考え退職しました。
- 前職では、人手不足を理由に残業が多くありました。介護士として新たなスキルを習得したいと考えていましたが、仕事以外の時間がとれない状況にありました。今後は、スキルアップとともに施設に貢献できる人材へと成長したいと思い、退職を決めました。
決して前の職場を批判しないことが注意点です。
特に、パワハラやサービス残業で退職した方は、あなたに責任があるわけじゃないので事実を伝えたいと考えるでしょう。ただし、介護業界は「人間関係」や「労働環境の悪さ」で辞める方が多いです。
そのため、マイナスにとらえられても、プラスに転じることはほとんどありません。過去のネガティブな事実を、前向きな未来にどうつなげるかを意識しましょう。
当施設を志望した理由は何ですか?
そもそも面接官は「条件で選んだのではないか」「どこでもいいのではないか?」と不安に思っています。そのため、なぜその施設がいいと思ったのか理由を明確に伝えることが大切です。
志望動機で伝えるポイントは、以下の通りです。
- その施設に貢献する意識は大前提
- その施設の特徴や方針に関連する理由を入れる
- 条件面の理由は避ける
- 未経験者は「なぜ介護職なのか?」も補足する
- 貴施設の介護理念にある「利用者は家族」の言葉に感銘を受けました。実際に、レクリエーションに力を入れている社風と利用者が笑顔で楽しめる雰囲気を拝見させていただき、私も貢献できる人材になりたいと思い、志望に至りました。
- 幼少期に祖父母が介護施設に入所し、職員の皆さまから大切に接していただきました。私自身も高齢者と接するのが好きで、介護職へ興味を持ちました。そのようなときに貴施設と出会い、温かい雰囲気のなか高齢者を介護しているのを見て、未経験で未熟な私ですが貢献できる人材になりたいと考えました。
ダメな回答例は、給与や休暇などの条件面を入れることです。どこの施設でもいいと思われるだけでなく、「自分のことしか考えていないのでは?」と勘違いされる可能性があります。
そもそも、介護職は利用者第一で取り組む仕事です。自分勝手な人は、利用者の安全を考えられない人にもつながります。
マイナスなイメージを持たれないために、「利用者を第一に考えているその施設に貢献する」ことを忘れないようにしましょう。
あなたの長所・短所は何ですか?
長所・短所を聞く理由は、自分を客観視できているか、職場になじんで活躍できそうかを見るためです。そのため、介護職で必要なスキルがあることをアピールしましょう。
介護職のスキルと関連する長所・短所は、以下の通りです。
- まじめさ
- 協調性
- 粘り強さ
- 私の長所は、仕事に取り組むまじめさです。施設のルールと方針を守り、どんな大変な仕事でも粘り強くやり遂げられます。逆に短所は、ルールを守る意識から周りが見えなくなってしまうことです。周囲とよい雰囲気を保つためにも、今後は外にも目を向けられるよう意識してまいります。
- 私の長所は、協調性の高さです。持ち前の明るい人間性と、培ったコミュニケーション力を活かし、施設の雰囲気づくりに貢献できるよう頑張ります。逆に、協調性を意識しすぎて仕事のまじめさが足りないといわれることが短所です。これからはしっかりとメリハリをつけ、仕事と協調性を両立できるよう意識してまいります。
長所は見つかるけど短所がわからない方は、長所によって弊害が出るポイントを探しましょう。逆も然りですが、そもそも短所は長所の言い換えといわれています。
また、面接官によっては「他にありますか?」と聞かれるので、もう1つは用意したいところです。加えて、短所を補うための取り組みやフォローとなる一言も用意しましょう。
夜勤や残業はできますか?
施設によっては夜勤や残業があるので、回答を用意しておく必要があります。ここで注意点ですが、採用されたいがゆえに「できます!」とだけ答えるのは避けましょう。
場合によっては、上限まで残業を強いられたり、夜勤ばかりになったりする可能性もあります。入職後のミスマッチにつながるので、可能な日数とできない理由はしっかりと伝えましょう。
また、持病や家庭の事情などの理由でできない場合は、正直に伝えてかまいません。採用率が下がる可能性がありますが、介護は人手不足の業界なので、働ける施設はたくさんあります。
- 子どもの面倒があるので、毎回夜勤は厳しいですが、週に2~3日くらいであれば可能です。ただ、平日は子どもの迎えと食事の準備が必要なので、18時以降の残業は難しいかもしれません。
- 前職も週3日程度夜勤に入っていたので、基本的に問題ありません。ただ、持病の腰痛があるので、長時間の残業になると厳しいかもしれません。
ダメな回答例は、理由なしにできないと断言することです。単純に「どちらもできません」と伝えると、面接官に「働く気があるのか」と思われてしまいます。
そのため、やりたい気持ちはあるけど理由があってできないことを柔らかく伝えましょう。また、家庭の事情で将来的に可能になる方は、理由とともに伝えると好印象を与えやすいです。
いつから勤務できますか?
採用された場合にいつから勤務ができるかを知りたいので、必ず聞かれる質問の1つです。すでに離職しており、すぐにでも働ける場合はそのまま伝えてかまいません。
在職中の面接で業務の引継ぎが必要な場合は、1ヶ月半~2ヶ月の日程を答えるのがおすすめです。無理して直近にすると、もし間に合わない場合に内定を取り消されるかもしれません。
また、期間が開きすぎても採用側は困るので、遅くとも2ヶ月以内で答えましょう。
- すでに退職日が決まっているので、来月の1日以降であれば勤務できます。
- 現職の引継ぎが必要なので、2ヶ月後には勤務可能です。日程でいえば、翌々月の15日以降になります。
なるべく明確な日程を伝えるのがポイントになります。曖昧になりすぎると、採用する側はもちろん、あなた自身も退職と入職準備をいつまでにすればいいかわからないからです。
伝える日程が確実じゃないにしても、なるべく目安となる日時は定めましょう。
将来どのような介護士になりたいですか?
面接官は「長く働いてもらいたい」「活躍してもらいたい」と思っているので、将来のビジョンとして聞かれる質問です。
伝えるポイントは、その職場だから叶えられる目標にすることです。もちろん介護士としての目標でもかまいませんが、追加することで「当施設で貢献する意欲が高い」と好印象を与えやすくなります。
- 将来的には、ケアマネージャーの資格を取得し、要介護者の自立のために社会貢献したいと考えております。資格取得後に貢献できる特別養護老人ホームということも、貴施設で働きたい理由としてありました。
- 私の祖父が重度の身体障害者になったことで、将来的に介護福祉士を目指し、障害者が生活しやすいための支援を目標としてきました。貴施設は障害福祉施設であり、仕事のなかで障害に対する知識と介護スキルを高め、社会貢献したいと考えております。
将来の目標に、介護福祉士やケアマネージャーなどの資格取得について触れると「介護職のキャリアを知っている」と評価されやすいです。
また、資格取得を目標にすることで、採用率アップだけでなく今後のキャリア形成にも役立ちます。介護福祉士とはどのような資格か気になる方は、下記の記事を参考にしてください。
最近気になったニュースを教えてください
介護業界のトレンドへの関心度や、候補者の考えを図るために聞かれる質問です。主に、未経験の場合や最終面接で聞かれることが多いです。
伝える際には、ニュースの概要だけでなく、どう感じたのかも一緒に答えましょう。あなたの率直な意見や感想を入り混ぜることで、社会への意識や関心が強いと好印象を持たれやすくなります。
- 高齢者施設の病気の流行について、日々ニュースをチェックしております。特に、私も関わっている業界とあって、対策方法はないかと考えてきました。ご家族や私たち介護士の感染予防対策はもちろんですが、入所者の体調管理にも目を配り、小さな変化にも気づけるよう仕事したいと考えています。
- 介護職員の虐待問題について、悲しい事件が多いと感じます。私自身、高齢者が好きな理由もあり、どうすれば減らせるか日々考えてまいりました。介護職員も人間なのでストレスが溜まるかもしれませんが、利用者を家族と思って大切にし、介護業界全体での働きかけが大切だと考えております。
ニュースやテレビを見ていなくても、「見ないからわかりません」といった回答はよくありません。また、その場しのぎで嘘の情報を作るのもNGです。
今はスマホで日々のニュースはチェックできるので、面接前にいくつかピックアップして回答を用意しましょう。
逆に質問はありますか?
逆質問はどの面接でも聞かれます。そもそも「その施設で働きたい」「将来的に介護士の目標がある」といった人が、施設側に疑問を抱かない方がおかしい話です。
そのため、逆質問の背景には「今までの回答の裏付け」という意味合いがあります。たとえ疑問点がなくても「ありません」はもってのほかです。
以下に、質問例をまとめたので、ご覧ください。
- 研修制度があると聞いたのですが、期間やどのような内容なのか教えていただけないでしょうか。
- 資格取得支援制度があると求人情報に記載があったのですが、どのような支援がうけられるのでしょうか。
- 私が50代男性とあって不安なので、職員の年齢層や男女比がどのくらいなのか質問してよろしいでしょうか。
- 介護職の経験が浅いので、早く貴施設で貢献できるために準備しておくことはありますか。
- 前職と業務内容が違うので、一日の仕事の流れを簡単に教えていただけますか。
とはいえ、事前に逆質問を用意しても、面接中に解消されるケースもあります。そのため、念のために2~3個は用意しましょう。
また、逆質問でダメな回答例は、給与や休暇などの条件面や求人情報を見ればわかる内容です。マイナスなイメージを与えやすいので、もし疑問点が全て解消された場合は「面接中に解消されました」と回答しましょう。
介護職の面接質問で好印象を与える3つのポイント

介護職の面接質問で好印象を与えるポイントは以下の通りです。
- 自己分析や施設研究を行う
- 先に結論から話す
- 応募書類と一貫性を持たせる
自己分析や施設研究を行う
面接の質問には、あなた自身や職場のことを理解できているかが背景にあります。そのため、自己分析や施設研究を惜しまないことが大切です。
それぞれのやり方は、以下の通りです。
- 過去を振り返り、介護の仕事に関連する内容を探す
- 過去の経験から長所・短所や志望動機に紐づける
- 介護の興味や関心から、どのような介護士になりたいか目標を立てる
- 施設の理念から、介護と経営の方針を知る
- 求人情報や方針から、施設が求める人物像の理解をする
- 方針と求める人物像から、利用者とどう関わるのか理解を深める
自己分析と施設研究の両方でいえるのが、日々発見があることです。例えば施設研究の場合、方針から求める人物像を理解できることがあれば、利用者との関わり方から理念の意味合いが深まることもあります。
そのため、順を追って分析・研究するというより、発見とともに理解を深めていくといったイメージです。今後のキャリア形成にも役立つので、採用後も惜しまずに習慣づけましょう。
先に結論から話す
先に結論から話すと、相手は理解しやすく「デキる人」と思ってもらえます。加えて、そのあとに結論の理由付けを持ってくることで、納得してもらいやすいです。
結論ファーストの代表的な文法として「PREP法」があるので、まずは以下をご覧ください。
- P(Point):結論
- R(Reason):理由
- E(Example):具体例
- P(Point):結論
聞き手は結論を理解したうえで理由、具体例を聞くので、答えと紐づけやすくなります。また、最後の結論で答えが印象深く残ります。
面接だけでなく、会話や文章でも使える文法なので、日常でも活用してください。
応募書類と一貫性を持たせる
応募書類と一貫性を持たせるのは必須といえます。なぜなら、書類に書かれた内容と矛盾していたら「嘘をついている」と思われるので、お見送りされやすくなるからです。
ただし、その場しのぎで回答を考えている人は、質問を掘り下げられると一貫性のなさが表れます。応募書類にどのようなことを書いたか確認するのは大前提ですが、それだけでは矛盾点が出てしまうかもしれません。
そのため、自己分析と施設研究はしっかりと行い、根本から矛盾点をなくす必要があります。応募書類に書く際にも、面接での質問と回答を意識しましょう。
まとめ
介護職の面接で質問に回答する場合は、面接官に与える印象を第一に考える必要があります。また、応募書類との矛盾点をなくし、面接での回答に一貫性がないといけません。
そのため、面接に慣れていない方や、未経験で介護職の知識がない方だと、採用を見送られる可能性があるでしょう。
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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。