特養とはどんなところ?3つの種類や働くメリットをわかりやすく解説

特養とはどんなところ?3つの種類や働くメリットをわかりやすく解説 介護転職の悩み
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「特養とは、どんなところなのか知りたい」

「特養で働くメリットやデメリットは?」

このような疑問を抱えている人もいるでしょう。

特養とは、常時介護が必要な人が生活するための施設です。働く介護士にとってもメリットが多く、介護スキルが身につけられるほか、ケアマネージャーにキャリアアップしたい人にもおすすめといえます。

その反面、仕事をするには介護スキルが求められるので、未経験からだと大変に感じるかもしれません。また、身体介護や夜勤からくる体力面のきつさもあるでしょう。

この記事では、特養の概要と3つの種類、介護士が働く上でのメリット・デメリットを解説します。加えて、有料老人ホームや介護老人保健施設との違いや、給料や仕事内容もまとめたので、これから特養で働きたい人はぜひ参考にしてください。

特養とは

特養とは

特養とは、常時介護を必要とする人や、家で介護をするのが困難な高齢者を受け入れる公的施設です。また、特養は略称であり、正式名称は「特別養護老人ホーム」といいます。

「利用対象者」や「部屋の種類」などを1つの表にまとめました。

項目内容
利用対象者65歳以上で要介護3以上の人
40歳~64歳で特定疾病がある要介護3以上の人
特例で認められた要介護1~2の人
部屋の種類ユニット型個室
ユニット型多床室
従来型個室
従来型多床室
スタッフの人員配置施設長
医師(必要な人数)
介護職員または看護職員(利用者3名に対し、スタッフ1名以上)
生活相談員(利用者100名に対し、スタッフ1名以上)
栄養士(1名以上)
機能訓練指導員(1名以上)
介護支援専門員(1名以上)

部屋は大きく分けて「ユニット型」と「従来型」の2種類です。

ユニット型は、生活環境をより日常に近付けた形で、部屋とは別に共同生活室を設けているのが一般的です。

さらに、その中でも「個室」と「多床室」の2つ分類されています。個室は名前の通り完全個室で1名で過ごしますが、多床室は集団部屋を壁で仕切り、簡易的な個室を作っているケースが多いです。

逆に従来型の場合は、共同生活室がありません。生活の全てを部屋内で済ませるのが一般的です。また、従来型個室は完全に1人の空間となりますが、多床室は病院のように4人1組といった形で集団で生活します。

なおかつ、特養には人員配置基準があり、満たしていない場合は運営できません。人手不足の介護業界ゆえに、特養の人員配置の問題で日々頭を悩ませています。

特養と有料老人ホームの違い

有料老人ホームは、特養と違って民間が運営している施設です。よって、そもそもの定義から費用まですべて違います。

2つの違いは以下の通りです。

項目特養有料老人ホーム
運営元公的施設民間施設
対象者原則として要介護3以上定義はない(元気な高齢者が入所しているケースもある)
役割常時介護が必要な人の生活を支援高齢者ができる限り自立するため支援
入居費用0円施設によって異なる(数千万円かかるケースもある)
月額費用8万円~13万円施設によって異なる(10万円~数十万円が一般的)
部屋の種類個室または多床室個室
サービス内容生活介護
身体介護
機能訓練
健康管理・療養上の世話
食事の提供
洗濯・掃除などの生活支援
身体介護
健康管理

有料老人ホームには「要介護・要支援1以上から」でも受け入れている施設もあります。

一方で、特養に比べると費用が高くなりがちです。こちらも施設によりけりですが、なかには入居費用で数百万円以上、または月額費用で数十万円を超えるケースもあります。

よって、利用者対象者や役割、サービス内容などが全て異なるので、働きやすく感じるかどうかは人それぞれです。とはいえ、どちらも介護に携わり、やりがいのある仕事に間違いないでしょう。

特養と介護老人保険施設(老健)との違い

介護老人保健施設(老健)は、リハビリや機能訓練を通じて在宅復帰を目指す施設であり、特養とは役割が違います。ただし、運営元は公的施設になるので、入居費用はどちらもかかりません。

それぞれの違いを以下にまとめたので、ご覧ください。

項目特養介護老人保健施設(老健)
運営元公的施設公的施設
対象者原則として要介護3以上要介護1~5以上
役割常時介護を必要とする人を支援リハビリや機能訓練を経て、在宅復帰を目指す
入居期間終身入居も可能原則として3ヶ月(継続もある)
入居費用0円0円
月額費用8~13万円7~20万円
部屋の種類ユニット型の個室・多床室
従来型の個室・多床室
ユニット型の個室・多床室
従来型の個室・多床室
サービス内容生活介護
身体介護
機能訓練
健康管理・療養上の世話
主に機能訓練・リハビリ
医療ケア
生活介護
身体介護

最大の違いは、特養は入居期間の定めがないのに対し、老健は原則3ヶ月と決まっているということです。とはいえ、3ヶ月で社会復帰するのは簡単ではないので、ほとんどの人が継続して入居しています。

加えて、老健は特養よりも機能訓練設備が整っている傾向にあるので、リハビリが多く受けられます。ただその分、看護職員や機能訓練指導員などの人員配置を増やさないといけません。

よって、そもそもの役割が違うので、同じ公的施設でも人員配置の定義や行えるサービスがそれぞれで違います。また、老健は利用者の入れ替わりが激しいことから、介護士もいろんな人と携わる機会が増えてきます。

特養の3つの種類

特養の3つの種類

特養とは、入居して介護をすると思われがちですが、実はそれだけではありません。以下の3つの種類に分類されているので、サービス内容や定義を詳しく解説します。

  • 広域型
  • 地域密着型
  • 地域サポート型

広域型

広域型は一般的な特養形態の施設であり、居住地の制限がありません。ただし、利用者の定員数が30名までと決まっています。

よって、施設の場所に要望がなければ比較的待機期間を少なくして入居できますが、利用者やその家族が「できるだけ遠くに離れたくない」という場合だと、入居が決まらないケースも少なくありません。

特に、高齢化社会にともない、今後はさらに利用者が増えてくると予測されています。そのため、利用者の待機期間を短くしようと、特養の施設数も年々増加しています。

しかし、運営するには人員配置の問題があるので、介護士の人員確保が必要です。これらも近年介護業界が人材不足といわれる1つの原因であり、特養は働いてくれる介護士を常に求めています。

地域密着型

地域密着型は、施設がある地域に居住地がないと入居できません。加えて、定員が29名以下と決まっており、広域型に比べるとより入居が難しいです。

また、その中にも「サテライト型」と「単独型」の2種類があります。

サテライト型は、運営元となる本体施設があり、その方針に従った上で別の場所に施設をかまえています。一般的な特養形態よりも条件が緩和されているのが特徴で、医師や生活相談員がいなくてもかまいません。

単独型は、本体施設という概念がなく、その施設単独で運営しています。条件緩和はもちろん、デイサービスやショートステイなど、別の運営形態を併用している施設も多いです。

どちらも共通しているのが、家庭的な雰囲気で利用者が生活できる点です。定員数が少ないので、利用者とより身近に触れ合えるでしょう。

地域サポート型

地域サポート型は、在宅で生活している高齢者にサービスを提供します。施設に入所せず、日中の訪問や夜間の見回りなど、24時間体制でサポートするのが特徴です。

ただし、そもそもの利用条件が厳しく、対象者に当てはまっても全ての人がサービスを受けられるとは限りません。

前提として、特養と契約を済ませておく必要があります。また、居住地が対象地域になっていなければ、そもそものサービス自体がありません。

このことから、利用できる地域が少ないのが現状です。

介護士が特養で働く3つのメリット

介護士が特養で働く3つのメリット

特養とは、他の介護施設に比べて費用を安くして介護を受けられるメリットがあります。ただし、メリットがあるのは利用者だけではありません。

介護士が特養で働くメリットは、以下の通りです。

  • 介護の技術が身につく
  • 長期的な介護ができる
  • ケアマネージャーにキャリアアップできる

介護の技術が身につく

特養は介護度の高い利用者が多いので、介護の技術が身につきやすいメリットがあります。そもそも、排泄や入浴などの身体介護は、要介護が高くなるにつれて大変になります。

最初はしんどいと感じるかもしれませんが、日々の介護の中で技術力が向上しているのは間違いありません。また、技術が身につくことで、成長していくあなた自身を実感できるでしょう。

特に、介護は予期せぬケガやトラブルがつきものなので、技術力が求められる仕事です。仮に別の施設に転職を検討した場合でも、特養で働いた経験から採用してくれる施設はたくさんあるでしょう。

長期的な介護ができる

特養は、長期的な介護ができるのもメリットといえます。基本的に、特養の入居者は終末期のケアとして利用する人が大半を占めています。

そのため、入居者の性格や必要な介護を踏まえたうえで働くことが可能です。加えて、日々を一緒に生活する中で、入居者を家族のように大切に感じる職員もたくさんいます。

大切な人の終末期をケアすることで、入居者に対して精一杯の介護へとつながるでしょう。このことから、単に経験をたくさん積めるだけでなく、特養での仕事にやりがいを感じている人も少なくありません。

ケアマネジャーにキャリアアップできる

特養で経験を積めば、ケアマネージャーにキャリアアップすることも可能です。

ケアマネージャーが行う仕事は、主に以下の通りです。

  • 利用者のケアプランを作成
  • 利用者とサービス事業所の仲介役
  • ケアプラン通りにサービス提供ができているかマネジメント

そんなケアマネージャーは資格が必要で、指定業務の日数が「5年以上」かつ「900日以上」でないと受験できません。

とはいえ、ケアマネージャーの資格を取得すれば、年収アップはもちろん働ける場所の選択肢も広がります。将来的にも安定した職業でもあるので、特養で働く人はキャリアアップに最適でしょう。

介護士が特養で働く2つのデメリット

介護士が特養で働く2つのデメリット

上記では特養で働くメリットを紹介しましたが、それではデメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。以下でデメリットを2つ紹介するので、見ていきましょう。

  • ある程度の介護スキルが必要
  • 体力がいる

ある程度の介護スキルが必要

特養で働くには、ある程度の介護スキルが必要になります。そもそも介護度の高い人が多いので、経験を積んでいないと仕事がしんどいと感じる可能性が高いです。

そのため、未経験から特養で働こうと考えている人は、あらかじめ介護スキルを高めておいた方がよいでしょう。単に資格だけ取得するのではなく、特養で働くことを前提として介護研修できる場で実務体験を積んでおくことが大切です。

体力がいる

特養は体力がいる仕事多いので疲れやすいです。特に、介護度が高いほど入居者は自分で生活をするのが困難なので、身体介護をするケースが増えてきます。

特養で大変とされる身体介護は、以下のようなケースです。

  • 入浴や排せつなどの介護
  • 寝たきりの入居者が移動する際の介護
  • 床ずれ防止のための体位変換

そもそも、人の体を支える際に必要とする体力は並大抵ではありません。介護者もケガをしたくないので、必要以上に力が入ったり、あなたよりも大きい人に身体介護をしたりする場面も多々あるでしょう。

また、特養は年中無休24時間体制で運営しています。そのため、夜勤が多く、日々の生活が不規則になりやすいです。

今まで夜勤の経験がない人や、体力に自信がない人だと、特養の仕事はきついと感じるかもしれません。

特養の介護士がおすすめの人

特養の介護士がおすすめの人

特養の介護士がおすすめな人とは、以下のような特徴を持っています。

  • すでに介護の仕事に携わっている人
  • 高度な介護スキルを身につけたい人
  • ケアマネージャーにキャリアアップしたい人
  • 体力に自信がある人

特におすすめなのは、すでに介護の仕事に携わっている人です。介護スキルがあって仕事が苦になりづらく、ケアマネージャーにキャリアアップもしやすくなるからです。

特養へ転職を検討している人は、以下に「おすすめの転職サイト」を紹介しているので、ぜひ活用してください。

特養の介護士についてよくある質問

特養の介護士についてよくある質問

特養とは、介護業界のなかでも特に大変といわれているので、これから働こうと考えている人は多くの疑問を抱えています。それら疑問点を解消するためにも、以下でよくある質問に回答します。

  • 主な仕事内容は?
  • 給料は高い?
  • 資格がないと採用されない?

主な仕事内容は?

特養の主な仕事は、入居者の介護と健康管理になります。携わる仕事内容を以下の表にまとめたので、これから特養で働く際に参考にしてください。

項目仕事内容
入居者の介護排泄・入浴などの身体介護や食事のケア
入居者の健康管理服薬や口腔ケア、体調を悪くしていないかチェック
入居者の身体機能管理体力や筋力が低下していないかの管理
家族への近況報告・相談入居者の困りごとや日々の生活を家族へ報告・相談

給料は高い?

特養の給料は、他の介護施設に比べると高いです。以下にその他の職種との比較表をまとめたので、見ていきましょう。

施設の種類平均月収平均年収
特養345,590円4,147,080円
老健338,390円4,060,680円
訪問介護314,590円3,775,080円
デイサービス278,180円3,338,160円
グループホーム291,460円3,497,520円
引用:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況調査結果」

また、介護職全体の平均月収が「316,610円」で、平均年収が「3,799,320円」なので、相場としても特養の給料は高いです。

すでに介護職に携わっている人で、給料に不満を抱えている人は特養への転職もいいですね。

資格がないと採用されない?

無資格でも働くことは可能です。ただし、以下の資格があった方が有利といえます。

  • 介護福祉士
  • ケアマネージャー
  • 社会福祉士

なるべく介護スキルを証明する資格があった方が採用されやすいです。どのような資格か知りたい人は、以下の「介護福祉士とは」の記事を参考にしてください。

まとめ

特養とはどのような施設なのかを解説してきました。特養は、働く介護士にとってメリットが多く、給料の高さやキャリアアップしやすいといえます。

とはいえ、介護スキルがないと大変なのが特養です。キャリアがない人は、スキルを証明する資格がないと、採用に至るまでのハードルが高いかもしれません。

もし特養で働きたい人は、転職サイトの利用がおすすめです。あなたに合った施設を紹介してくれるほか、転職サポートが受けられるので、経験問わず採用率がアップします。

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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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