- 「認定介護福祉士ってどんな資格なの?」
- 「認定介護福祉士の受講要件はあるのかな?」
- 「認定介護福祉士を取得すると年収は上がるのかな?」
このような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
結論から言いますと、認定介護福祉士を取得するメリットは、以下の通りです。
- キャリアアップしやすくなる
- 仕事の幅が広がる
- 転職で有利になる
また、認定介護福祉士は受講要件を満たすだけでも、年収アップを期待できます。以上のことから、介護福祉士からさらなるキャリアアップを目指す人は、認定介護福祉士にチャレンジしましょう。
この記事では、認定介護福祉士を取得するメリットや取得の流れなどをまとめました。カリキュラムやよくある質問もまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
認定介護福祉士を取得すると年収は上がる?
認定介護福祉士の資格取得者数はまだまだ少ないため、認定介護福祉士と介護福祉士とでは、年収に大きな差がないといわれています。
この章で、認定介護福祉士を取得するうえでの年収について紹介する項目は、以下の通りです。
- 現時点で公的なデータはない
- 職場によっては「役職手当」がつく
- 将来的に加算措置の対象となる可能性もある
現時点で公的なデータはない
2023年5月現在、認定介護福祉士は民間資格のため、公的な給料や年収のデータがありません。ただし、認定介護福祉士の受講要件を見ると、介護福祉士1年目と比べれば年収が上がることが期待できます。
認定介護福祉士の受講要件は、以下の通りです。
- 介護福祉士の資格を取得し、実務経験が5年以上
- 介護職員と対象した研修を100時間以上受講(介護福祉士ファーストステップ研修を修了)
介護福祉士資格取得後2年程度の実務経験者を対象に介護福祉士としてのキャリアアップ、小規模チームのリーダー養成を目的とした研修。
認定介護福祉士の資格そのものというより、受講条件を満たすような経験やスキルなどが評価され、年収アップにつながるでしょう。
職場によっては「役職手当」がつく
認定介護福祉士の資格を取得すれば、職場によっては「役職手当」により年収が上がるケースもあります。介護の専門的な知識や技術が、身についている証明になるからです。
認定介護福祉士の資格が「役職手当」などに該当するかどうか、働いている介護施設の就業規則を1度確認してみましょう。
将来的に加算措置の対象となる可能性もある
認定介護福祉士は、将来的に介護職員処遇改善加算措置の対象になる可能性があります。国が「リーダー級の介護職員は他産業と遜色ない賃金水準の実現を図る」と主張しているからです。
今後、資格保持者が活躍し実績を残せば、認知と評価の向上につながり将来的に年収アップが期待できるでしょう。
認定介護福祉士を取得する3つのメリット
認定介護福祉士を取得するメリットは、以下の3つです。
- キャリアアップしやすくなる
- 仕事の幅が広がる
- 転職で有利になる
キャリアアップしやすくなる
認定介護福祉士の資格を取得すると、介護主任(介護福祉士)から管理職へのキャリアアップがしやすくなります。介護チームのリーダーよりも責任ある立場や仕事内容で活躍することが期待されるからです。
管理職になれば、介護主任よりも役職手当の支給額がより多くもらえるため、昇給も見込めます。
仕事の幅が広がる
認定介護福祉士は、責任のある立場から職員の教育やマネジメントを行うため、サービスの質を向上させる役割を果たします。そのため、介護士はもちろん、医者や看護師、医療職、リハビリ職などとの関わり合いも多くなるでしょう。
他職種と触れる機会が増えることにより、これまで以上に質の高い介護業界へ貢献できます。
転職で有利になる
認定介護福祉士は、介護福祉士として高いスキルや経験を持っている証明になるため、転職で有利になります。多くの介護施設では即戦力の介護士を募集していることもあり、介護福祉士は需要が高い人材です。ジョブメドレーによりますと、介護福祉士の求人は約32,000件あります。
これだけの求人があるなかで、即戦力の介護福祉士は喉から手が出るほど欲しい人材。より条件の良い職場に転職するチャンスを得やすいでしょう。
認定介護福祉士を取得するまでの流れ
認定介護福祉士を取得するまでの流れについて、紹介します。
- 受講要件を満たしているか確認する
- 居住地の介護福祉士会に相談する
- 認定介護福祉士養成研修を受講する
- 認定申請書を提出
受講要件を満たしているか確認する
介護福祉士の資格を取得するには、以下の受講要件をクリアしなければなりません。
- 介護福祉士としての実務経験が5年以上ある
- 現任研修受講による内省や学習習慣の獲得(介護福祉士ファーストステップ研修を修了)
- ユニットリーダーやサービス提供責任者としての実務経験を有することが望ましい
- 居宅および施設系サービスでの生活支援の経験を持つことが望ましい
居住地の介護福祉士会に相談する
認定介護福祉士に関する相談については、各都道府県に介護福祉士会が設けられているので、お問い合わせください。
認定介護福祉士養成研修を受講する
認定介護福祉士養成研修とは、認定介護福祉士を取得するための研修です。
認定介護福祉士養成研修は、「認定介護福祉士養成研修Ⅰ類」と「認定介護福祉士養成研修Ⅱ類」で構成され、この2つを修了しなくてはなりません。すべてのカリキュラムを合わせると600時間はかかるため、研修が修了するまでに1年半程かかります。
カリキュラム配下の通りです。
認定介護福祉士養成研修Ⅰ類 | |||
領域名 | 科目 | 単位 | 時間 |
認定介護福祉士養成研修導入 | 認定介護福祉士概論 | 1 | 15 |
医療に関する領域 | 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅰ | 2 | 30 |
疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅱ | 2 | 30 | |
リハビリテーションに関する領域 | 生活支援のための運動学 | 2 | 10 |
生活支援のためのリハビリテーションの知識 | 20 | ||
自立に向けた生活をするための支援の実践 | 2 | 30 | |
福祉用具と住環境に関する領域 | 福祉用具と住環境 | 2 | 30 |
認知症に関する領域 | 認知症のある人への生活支援・連携 | 2 | 30 |
心理・社会的支援の領域 | 心理的支援の知識技術 | 2 | 30 |
地域生活の継続と家族支援 | 2 | 30 | |
生活支援・介護過程に関する領域 | 認定介護福祉士としての介護実践の視点 | 2 | 30 |
個別介護計画作成と記録の演習 | 2 | 30 | |
自職場事例を用いた演習 | 1 | 30 | |
Ⅰ類計 | 345時間 |
認定介護福祉士養成研修Ⅱ類 | |||
領域名 | 科目 | 単位 | 時間 |
医療に関する領域 | 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅲ | 2 | 30 |
心理・社会的支援の領域 | 地域に対するプログラムの企画 | 2 | 30 |
マネジメントに関する領域 | 介護サービスの特性と求められるリーダーシップ、人的資源の管理 | 1 | 15 |
チームマネジメント | 2 | 30 | |
介護業務の標準化と質の管理 | 2 | 30 | |
法令理解と組織運営 | 1 | 15 | |
介護分野の人材育成と学習支援 | 1 | 15 | |
自立に向けた介護実践の指導領域 | 応用的生活支援の展開と指導 | 2 | 60 |
地域における介護実践の展開 | 2 | 30 | |
Ⅱ類計 | 255時間 | ||
Ⅱ類Ⅱ類 合計 | 600時間 |
認定申請書を提出
認定介護福祉士養成研修受講後に、認定介護福祉士認定規則等の規定を確認し、認定申請書とその他の添付書類へ必要事項記入のうえ、認定機構へ認定申請を行います。
申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 認定申請書
- 介護福祉士登録証の写し
- 認定介護福祉士養成研修修了証の写し
- 認定費用の振り込み及び振込証明書
認定介護福祉士についてよくある質問
認定介護福祉士について、よくある4つの質問にお答えします。
- 費用はかかる?
- 更新は必要?
- 認定介護福祉士取得後、さらに年収を上げるには?
- 認定介護福祉士以外におすすめの資格は?
費用はかかる?
認定介護福祉士養成研修では、約60万円かかります。
ただし介護福祉士会への加入や、国や自治体の補助金、職場の資格取得支援制度の活用などで費用を抑えることは可能です。
更新は必要?
認定介護福祉士の資格は、5年おきに更新が必要です。
更新に必要な書類は、以下の通りです。
- 更新申請書
- 機構の定める更新に関する書類
- 更新費用の振り込み及び振込証明書
認定介護福祉士取得後、さらに年収を上げるには?
認定介護福祉士取得後、さらに年収を上げるには「ケアマネの資格を取得する」「勤続年数を増やす」「夜勤に入る」などが挙げられます。 また、待遇面が手厚い施設への転職を視野に入れると良いでしょう。
ただし、以下の場合は転職した方が年収が上がる可能性が高いといえます。
- 夜勤が少ない、もしくはない
- 資格手当が少ない、もしくはない
- 介護職員等特定処遇改善加算に算定していない
また、経営やマーケティングも得意であれば、自ら施設を立ち上げるのもおすすめです。
認定介護福祉士以外におすすめの資格は?
認定介護福祉士以外で年収を上げたいのであれば、以下の資格がおすすめです。
資格 | 目的 |
ケアマネージャー | 利用者からの相談や心身の状況に応じて、介護サービスを受けられるようケアプランを 作成する役割 ・ケアプラン(介護サービス計画書)の作成 ・関連機関との連絡調整 |
社会福祉士 | ソーシャルワーカーとも呼ばれる、社会福祉専門職の国家資格 ・障がいを持つ人や環境上日常生活を送るのが困難な人の相談業務 ・専門家としての社会的な信用性を得られる |
喀痰吸引等研修 | 「痰の吸引」「経管栄養」といった医療ケアを行える職員を養成するための資格 ・痰の吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部) ・経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養) |
さらに詳しい情報は下の記事で公開していますので、気になった方は読んでみてください。
まとめ
この記事では、認定介護福祉士のメリットや取得の流れなどを紹介しました。改めて、認定介護福祉士の受講要件を振り返りましょう。
- 介護福祉士としての実務経験が5年以上ある
- 現任研修受講による内省や学習習慣の獲得(介護福祉士ファーストステップ研修を修了)
- ユニットリーダーやサービス提供責任者としての実務経験を有することが望ましい
- 居宅および施設系サービスでの生活支援の経験を持つことが望ましい
認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格であるため、キャリアアップや転職にも有利な資格です。受講要件をクリアして資格取得を目指しましょう。
この記事が、認定介護福祉士を目指す介護福祉士の方に少しでもお役に立てれば嬉しいです。